夢みる蝶は遊飛する
「本当に本当だよね? 最終確認だよ?」
それでもまだしつこい彼に少し呆れながらも、そんな浮かれた表情をさせているのが自分だということを嬉しく思う。
私が頷くと、彼は三回ほど深呼吸をしてから切り出した。
「じゃあ改めて、もう一回言います」
こんな夜に、道端でなにをやっているんだろうと思われるかもしれないとか、見られていたらとか考えていたけれど、彼の真剣な表情を見たら、そんな思考もどこかへ行ってしまった。
「高橋さん、俺と付き合ってください」
切れかけた街灯が私たちを照らす。
スポットライトのように、私たちだけを。
私はその言葉を胸の中で反芻し、そして。
一度だけ頷いた。
「そう言えば、なんであの時、今はだめっていったの?」
向かい合って互いの存在だけを感じていたとき、私たちの近くを自転車に乗ったサラリーマンが通り過ぎ、我に返った。
彼はここが私たちの家の近所で道端であることを忘れていたようだ。
そしてそこから、私の家までの数十メートルの道のりをゆっくりと歩いていると、彼にその質問を投げかけられた。
彼はその理由を聞いても、きっと笑わないだろう。
「それはね・・・・・」