旦那様は社長 *②巻*

あたしの体は社長の胸にグッと引き寄せられた。


…ーートクントクン


相変わらず心地よいその鼓動は、心なしかいつもより速く感じられた。


伝わってくるよ……

社長の不安が、手に取るように。


そっと視線だけ宮下先生に向けると、先生はゆっくり頷きながら微笑む。


……え?


「悠河くん、光姫ちゃんは病気なわけじゃないよ」

「でもっ……」


社長の言葉を遮るように、あたしに視線を移した先生が教えてくれたのはーーー……


「光姫ちゃん。ママになる覚悟はできたかい?」


「……っ、じゃあ……」


「おめでとう。ちょうど5週目に入ったところらしい」


…ーー紛れもない妊娠の事実だった。



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