旦那様は社長 *②巻*
妊娠ーーー……
あたしのお腹で、赤ちゃんが生きてるの?
ここに……
新しい命があるの?
自然と自分の両手で、お腹を包み込んでいた。
「え……妊娠?」
この状況をまるで理解できていない社長が、あたしと宮下先生を見比べながら、1人あたふたしている。
「えっ、……えっ?!」
……驚きすぎだから。
あまりの社長の慌てぶりと、見たこともないリアクションに、自然とあたしの口から笑い声が漏れた。
「ぷっ……」
「……なっ、光姫お前、知ってたのか?!」
顔を真っ赤にして、鼻をヒクヒクさせながら、とにかく興奮している社長の姿は見ていて面白い。
「ははっ。悠河くん、パパになる気持ちは?」
追い討ちをかけるように、宮下先生までもが社長をからかう。
「そうだよ、パパになる感想は?」
社長が苦手な上目遣いと含み笑いで、あたしも先生に便乗。
この時のあたしには、今まで悩んでいたのが嘘のように、迷いなんてなかった。
赤ちゃんがお腹にいるって分かって“守りたい”って思ったの。