旦那様は社長 *②巻*
不思議だけど。
あたしはもう“ママ”なんだって、自覚がある。
社長が今もあたし自身を愛してくれてるって、分かったからかなーー…
それとも、女性が持って生まれた“母性本能”ってやつかな?
……どちらにしても、もうあたしは迷わない。
愛する人の子供を生む。
「何も知らなかったのはオレだけかよ?」
さっきよりも、少し冷静さを取り戻した社長は、自分だけ何も知らされていなかったのが不満のようで。
ジトッとした目つきで、あたしを見下ろしている。
「あたしだって、今まで知らなかったもん」
「でも、予感してたんだろ?!」
「まぁ……でも、ハッキリしてなかったし。
……ごめんなさい」
シュンとするあたしを、社長がフワッと抱きしめながらーー…
「やべぇ……今オレ、すっげー嬉しんだけど」
あたしの耳元で何度も、「ありがとう」と囁いてくれた。
“嬉しい”と“ありがとう”の言葉があたしの感情を揺さぶり、涙が次から次へと溢れ出る。
「……あたしも嬉しい。ありがとうっ……」
社長の背中に腕を廻し、胸に顔を埋めると、より一層速まった鼓動の音が聞こえた。