旦那様は社長 *②巻*
「気が変わった理由か。……それはオレが光姫を愛しすぎたから、かな」
「あ…い……?」
「オレが光姫の前から姿を消した前の日、事実上の倒産に追い込まれたんだ」
会社を経営しているのが両親で、将来きっと自分が受け継いでいくはずだった会社の倒産ーー…
精神的にも肉体的にも、限界まで追いつめられたんだと思う。
日本経済に影響を与える大企業の倒産とくれば尚更、世間からの非難もあるわけで。
少なくとも、マスコミから大きなバッシングを受けていたことは、あたしの記憶にもうっすらと残っているから。
想像でしかその辛さが分からないけど、敬吾は経営者の息子。
苦い思いをたくさんしたに違いない。
だったら尚更、あたしが側で敬吾を支えたかった。
……頼ってほしかった。
あたしじゃ足手まといになる、そう思ったの?
「負債金額がものすごいことになってさ。想像以上で……ほんと参った」
まったく笑える話じゃないのに、目の前で冗談のように笑い飛ばしている敬吾の姿が逆に痛々しく思えた。