旦那様は社長 *②巻*
「……どうして気が変わったの?言っておくけどこれは別に敬吾を責めてるわけじゃないんだからね?」
「ははっ、分かってるよ。光姫は昔から何があってもオレを責めたりしなかったもんな?」
「……そうだっけ?」
「ギャーギャー文句は言ってたけど」
「んなっ、ムカつくんですけどッ!!」
今日一番の大口を開けて肩肘をつきながら爆笑している敬吾を見て、なぜか心が温かくなった。
敬吾と一緒に過ごした日々は、こうして笑いが絶えることがなくて。
ケンカなんてほとんどしなかったような気がする。
少しあたしとの時間にルーズなところがあって、待ち合わせに遅れてくる度に文句は言ってやったけど。
『あーもう、待ちすぎたおかげでチャラい男からナンパされたじゃん』
こうして嫌みっぽく言っても、敬吾はそれをうまくかわす。
『マジ?なんだよ、やっぱ光姫をいい女って思ってるヤツはオレだけじゃないんじゃん』
しかも、満面の笑みで。
そうして肩に腕を廻されて、『自慢の彼女』とか耳元で囁いてくるから、それ以上はあたしも何も言えなくなる。
ケンカに発展することがなかったのは、敬吾が大人であたしを一発で黙らせる巧みな技を持っていたから。