旦那様は社長 *②巻*
「えっ…」
「初めまして。海里の妻の美海です。いいですよ?そのままで」
「いえ!!失礼しました。社長秘書の光姫と申します」
さすがに抱きついたままなんて失礼だし、何より初対面の人になんてとこ見せてしまったんだろう……と、頭の中は後悔の嵐だった。
「ふふ。いいんですか?その自己紹介で」
「え?」
「旦那様、不機嫌そうですよ?」
振り向くと、本当に悠河は少し機嫌が悪そうに見えた。
……あたし、何か失敗した?
今言った自分の言葉を頭の中で繰り返してみたけど、特に間違ったことは言っていないと思う。
「光姫ちゃん。……“社長秘書”はないんじゃない?」
少し呆れたように藤堂さんが笑った。
「でもあたし……」
「いや、うん。確かに光姫ちゃんは社長秘書なんだけどさ……」
「なんですか?」
「美海さんが“妻”って言ってるのに、光姫ちゃんが“社長秘書です”って言うのは……」
ここまで言われても、あたしはまだ理解できなくて。
チラチラと悠河を気にかけながら言葉を並べる藤堂さんのことを、首を捻りながら見つめた。