旦那様は社長 *②巻*
途端に心拍数が急上昇する。
だけど悠河が手を繋いでいてくれたから、不思議と頭の中は冷静でいられた。
「この一週間、ちゃんとリラックスして過ごせた?」
「はい。悠河のおかげで」
「そう、ならよかった。じゃあ……」
もう一度手をギュッと握りあい、顔を見合わせて頷く。
大丈夫。
診察台へあがって大きく息を吐き、覚悟を決めた。
どんな結果も受け入れようと。
だけど……
やっぱり簡単には受け入れられなかった。
心と身体がそれを拒んだ。
「確認して……。赤ちゃんの心音が……聞こえないこと」
悠河の手が震えているのを感じた。
「明日、赤ちゃんを外に出してあげましょう。いつまでもお腹にとどめていたら……光姫さんの身体にもよくないわ」
「……お願いします」
それは今までで一番大きな悲しみに包まれていて。
だけど一番弱く儚い、小さな小さな悠河の声だった。
あたしは泣くことも言葉を発することも、現実を受け止めることもできず、ただ視界から光がスーッと消えていくのを感じた。