旦那様は社長 *②巻*
あたしの前に差し出されたのは、少し古ぼけた……というより、かなり時代を感じさせるような小さな巻物。


「………」


あたしは言葉を失った。



これを……

どうしろと……?



「光姫さん、これが何か分かるかね?」


「え…あ…ま、巻物…ですよね?」



どう見たって
太巻きじゃないし。



「ではこれには何が記されていると思う?」



巻物から連想するモノと言えば……


「…宝の…在処…?」


徳川の埋蔵金とか?!


有栖川ならそんな巻物を持ってても納得できる。




あたしが1人妄想を膨らませていると。



「光姫、これはな…そんな夢みたいなモノじゃないんだ」


「えっ?」


社長の一声で一気に現実に引き戻された。



「これはね、光姫さん。我が有栖川に代々伝わる……」


“代々伝わる”……?






「「しきたり」」



会長と社長の声が
ピッタリと重なった。



「……へ?」


あたしは全く意味が
分かっていない。



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