『幸せ』を抱いて
「きゃっきゃっ」
目の前には、満面の笑みが広がっている。
小さな手。
小さな握力で、それでも精一杯の力で、俺の指を握りしめてくる。
「あなたに似てるでしょ?」
声の方を向くと、優しげな色を湛えた表情の彼女。
「そうかな?お前に似てるよ」
また、小さな命を見下ろす。
俺が守るんだ。
この子と、俺の最愛の人を……。
「幸せに、なろうな…?」
誰にも聞こえない様に、自分だけに聞こえる様に、小さく、小さく呟いた。