『幸せ』を抱いて
「なぁ…」
俺の腕の中で眠っていた彼女が、顔を上げて見つめてくる。
「どうかした?」
「いや…。なんでもない」
彼女はまた腕の中に潜り、元の姿勢に戻る。
見つめるだけでもいいと思っていた。
ただ君の傍で、眠る君を抱きしめていられるだけで幸せだった。
だけど…。
「なぁ…」
また同じ様に彼女は顔を上げた。
「ずっと、傍にいさせてくれないか…?」
それ以上の幸せが。
「ずっと、傍にいてくれないか…?」
まだ俺の腕の中に。
「俺の傍で笑っていてくれないか…?」
眠っているはずだから。
「俺と一緒に、笑っていてくれないか…?」
一緒に、幸せになろうな……?
「結婚しよう」