鬼の花嫁
「昨日お前にジジイがガキの頃、鬼に生贄やったって言ったよな、あれのこと」
「えっ!?鬼っているんですか?」
「なんだお前〜信じてなかったな」
「だって…」
「まぁいいけど、もしジジイが言ってることが本当だったら…」
「誰かが生贄に…?」
「ああ。」
重い空気。
じりじりと照り付ける太陽。
蝉の声がやけにうるさい。
「で、でも本当にやるわけじゃないですよね?『鬼頼み』?」
「わかんねぇ…村長はそんなことする人だとは思えねぇからな。」
「ですよね〜…それに雨がこれからずっと降らないわけじゃないですし!
きっと!」
「はははっ、お前は前向きだなっその調子だ!」
それから2人で笑いあって
それぞれの仕事に専念した。
相変わらず、空には雲が少なく、
雨が降る気配はない。