鬼の花嫁

「ごめん尚太郎、先に川に行っててもらえない?」

「え?・・・あぁ、わかった。」

「・・・盗み聞きしないでよ?」

「しないよっ!!!」

「あはは。じゃぁ、話し終わったら走っていくから!」

「うん。」


尚太郎の足音が遠ざかっていくのを確認し
私は口を開いた。


「単刀直入に聞きます。鬼頼みのことですが・・・」

「あっあなた何故それを!?」

「昨日村長の家の前を通った時偶然聞いてしまいました。」

「このこと他の誰かに話した?」

「いいえ。」

「そう。それならいいわ。」

「それで・・・その・・・梅子殿を救う方法はないのでしょうか?
絶対飢饉は起こってしまうんですか??」

「落ち着きなさい。まず、梅子さんは鬼頼みの生贄です。
救うも何もこれは名誉のあることなのです。」

「そんな・・・」

「飢饉は今年必ず起こります。
今のうちに鬼頼みしなければ前回の時同様大飢饉に発展します。」

前回の時・・・・・
佐久助殿のお祖父さんの時の・・・
やっぱりあの話も本当だったんだ。

「あなたの未来・・・」

「え?」

「何か暗いものが見えます。気を付けてください。」

「ど、どういうことですか・・・?」

「私ははっきりと未来が見えるわけではありませんが、
あなたはこの先、とても悲しいできごとが起こる・・そんな気がします。
未来は些細なことで変わります。もし困った時は自分の直感を信じて行動してください。」

「・・・はい・・・・。」

「どんなに暗いところでも明かりをともすことはできます。
自分の中の明かりを、信じてください。」




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