俺様執事に全てを奪われて
「幻滅したか?
醜いやつって思っているのか?」

わたしは元の背中に向かって、言葉を発した

「いや…そんな酷いことを乙葉が言われていたなんて考えもしなかった俺自身を責めていた
そうか…悪かったな
気付けなくて
…で、有栖川の見合い相手になったんだな
それで?
どうするんだ?」

「あと2週間もすれば、愛子の誕生日がくるらしい
16歳になるから、入籍をすると言っていた
だからあと2週間の辛抱だ
そのころに生理もくるから、聖子を笑ってやる」

「生理が来なかったら?」

それは……困る

というか、元が困るだけだ

「なんで、そんなことを聞く?」

「有栖川の子を妊娠していたら、どうするんだ…と聞いている」

「それはない」

元が振り返った

わたしは驚いて、布団の中に潜った

「どういう意味だ?」

「可能性はゼロってことだ
有栖川とはヤッてない
あのお茶は飲んでないんだ
わたしが勝手に着物を脱いで、ヤッたように見せただけだ
もし妊娠していたら…それは…」

「俺の子ってわけ、だな」

「…ああ」

元が動く音がした

元がわたしの頭を撫でる

「そうか、俺の子か」

ぼそっと元が呟くのが聞こえた
< 101 / 224 >

この作品をシェア

pagetop