◆悪魔様のお気に入り◆
「どうしたん?」
そういって携帯の画面を覗きこんでみるとそこに表示されていたのはおかしな名前。
[大魔王]
「……これ誰?」
そう聞くと夏帆はあわてて携帯をしまった。
「なんでもないよ! 気にせんで!」
そう言って夏帆は慌てて教室を出て行った。
なんとなく夏帆から隠し事をされていると思うと
腹が立つような、さびしいような感情が押し寄せた。
「はーあ……、ごみ捨ていくかなぁ」
重い腰をおこしてごみ箱を持つ。ついでに鞄を肩にかけて教室を出た。
このごみ捨てに行かなければあいつに会わなかったなんてこの時の私は知るよしもなかった――……。