◆悪魔様のお気に入り◆
「……え?」
 そうつぶやいた瞬間、体に激痛が走った。
 
なにかに蹴られたのだ。 
 その状況をやっと把握してから顔を上げるとさっき階段で真っ最中だった男が仁王立ちで見下していた。

「……いっ!!?」

「覗き見か? 趣味のわりい女だな。順番もろくに待てねえのか?」

 にやっと笑いながらこっちをにらんでいる男は女の自分が見ても綺麗な、そしてかっこいい顔をしていた。

「ちがっ……!」
 体の痛みに耐えきれず首を振るしかできない。

 近づいてくる男から逃げるために後ろに下がるが壁にぶつかってしまった。



 ぶつかった瞬間次は足を踏みつけられ、どんどん強くなっていくその力に怖くなって涙が思わずこぼれた。

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