恋するキモチ
七瀬先生の車は、黒のワーゲン。
左ハンドル。
うわっ、俺、右側に乗るの初めてだ。


「途中で薬局寄ろうか?いつも飲んでる薬とかある?」
「いや、薬あんまり飲まないし」

「家の人に聞いたらわかる?」
「いえ、俺んち母親いないんで、そうゆうことはわからないです」

「そう、なの。知らなかった。ごめんね」
七瀬先生の顔が一瞬曇った。
いつものツンツンした感じがない七瀬先生は、今日は小さく見える。

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