聖花学園~花よ咲き誇れ~2
「風呂上りだったか? 濡れ髪で、色っぽいじゃないか」

 そう楽しそうに言った呉羽先生の言葉に、わたしは蛇に睨まれた蛙のように硬直してしまう。



 呉羽先生はそんなわたしの顎を強く掴み、無理矢理自分の顔の近くに持っていく。


「くぅっ」


 その力の強さに痛みを感じて、呻き眉間にシワを寄せる。


「そんな表情もいいな。ゾクゾクする」

 痛がるわたしに、呉羽先生はそんなことを言う。



 このっ、鬼畜!



 わたしはそう思ってキッと睨んだ。

 怖いけれど、痛みのおかげで恐怖より怒りがこみ上がってくる。


 そんなわたしに呉羽先生は、これ以上ないというほど楽しそうに微笑んだ。


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