モラルハラスメントー 愛が生んだ悲劇

直哉は三ヶ月近く、会社を休み続けていた。

二日酔いで休むのか、会社に行くのが嫌で拒否しているのか、裕子にはわからなかった。

とりあえず、一度一緒に病院へ行こうと言う裕子に直哉は、

『俺は精神科には行ったことがある。

人と違うから、特殊だからって、医者が勝手に病気扱いするんだよ。

なんだ?境界性人格障害とかなんとかってよ。

医者が手に負えないのは皆病気扱いだよ、情けねぇ。

俺は別に病気でもアル中でもない。

ただ眠れないだけなんだ。

頼むから、睡眠薬だけを貰ってきてくれ。』

体調が悪いと言いながら沢山の高価な酒と食べ物をねだり、暇があればパチンコに行きたがる。

このような生活を続け、裕子が渡されていた金はとっくに底をついている。


夫の給料などは、会社の赤字を埋める為に大分前からカットされていた。

裕子は自分の貯金を切り崩し、ブランド物の時計やアクセサリー、バック等の全てを質屋に持って行った。







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