獣闘記
しかし、
泰山は避けなかった。


…ゴツリ、という鈍い音が聞こえた。


明らかに小石が当たった音ではない。


もっと硬い、岩がアスファルトに落ちてきた、そんな音であった。


泰山が小石ごと、右拳で上段を突いてきた。


敏彦が、その拳を左肩で受けた音だった。



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