獣闘記
あと半歩で手が届く間合いに入る−


その瞬間、敏彦が口から何かを吹き飛ばした。

それは小指の爪半分くらいの、『石』であった。
いつの間に口に含んでいたのだろうか。



その小石が真っすぐ、泰山の眉間を目がけて走った。



あたればその隙をつく。避ければその隙をつく。

いずれにせよ、泰山を投げることができる。

コンマ一秒もあれば十分だ。




小石を飛ばすと同時に敏彦は前に出ていた。

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