sakura-君と出逢えて-



「でも……そんな二人も進路を目前に控えて、ちょっとだけすれ違いがおきた。ここに残る早苗と海外留学するゆず」


「海外……?」


「ああ。当然、早苗は引き止めたけどゆずの将来を考えると強くは言えなくて……
結局、卒業までズルズルそれを引きずってた。卒業して、あれは3月30日だった」



岡田が窓際に歩いて行って、外を見上げた。


朝、あれほど降っていた雨がいつしか止んでいて、濃い雲の隙間から光が差していた。



「今日みたいなどしゃ降りの日だった。オレたちは担任が学校を辞めることになったから学校に遊びに来てたんだ。
担任に会って、校舎を出てから早苗とゆずのケンカが始まった」



静かに目を閉じて岡田が口を開く。



「ケンカの理由は早苗も言わなかったしオレも未だに分からない。でも、正門から早苗が飛び出して……
車に惹かれそうになったのを助けたのはゆずだった」


「え?」







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