硝子の靴 ~夜帝の紅い薔薇~少女A~
「日和…?」


龍星は、
日和の様子を不思議に思い、
そっと声をかけた。



少しの間の後、


日和は、

視線を動かさないまま、
静かに口を開いた。



「七海さん」


「ん?」


「未だに、

私の仕事の話をしないけど、

私は、いつ雇ってくれるの?

何をすればいいの?」


「あぁ。

…、
大学に合格してからにしよう。
日和は、両親の期待が大きいだろ?
だから、仕事は、その後だ」


「そっか」


「うん」



「…七海さん、

ちゃんと考えてくれてるんだ」


「そうだよ。

俺は、真面目なんだぜ」


龍星は、
日和を見ながら笑った。
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