君のとなり。

 ━・・それからの、2人の戦いは
     ・・スゴかった。

見てる人、私や真奈美も息を呑む程。


祐人のスピードのあるプレー。

伊東君のムダのない動き。


2人ともお互いのチャンスを潰し合い、
攻めて守ってとめまぐるしくポジションが変わった。




一歩も退かない戦いに、動きがでたのは。

    授業が終わる、数秒前だった。

「━・・っ!!」


伊東君は、祐人が見せた一瞬の隙を見逃さなかった。


   「・・・っ入れ・・!!」



シュッと弧を描いて、ボールが舞う。


       ・・そして。




パサリと、静かにボールはゴールへ吸い込まれた。


その瞬間、シンとしていた体育館に響くチャイム。



    勝負が決まった、瞬間だった。



わっと周りの人たちが伊東くんの方へ行った。


逆に、祐人は黙ってゴールを見つめていた。
近づいて行った友達には笑っていたけど、私にはウソの笑顔に見えた。



・・・・そして、私は。

どうしてこんなに気分が沈んでいるのかな・・・

祐人が負けて、悔しいってさえ、思ってる。

  
   ‘この勝負に勝って、明日香が
    スキになってほしいって思う方”


・・真奈美の言葉が、私の中で響いた。


「━・・明日香ちゃん」
「・・!」

英介の声に、明日香はバッと振り向いた。

    「ちょっと、いいかな・・」

英介の言葉に、私は体育館を出て行く祐人を気にしながら。

「・・・・・うん」

     ゆっくりと、うなずいた。



  


< 26 / 108 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop