君のとなり。
━・・それからの、2人の戦いは
・・スゴかった。
見てる人、私や真奈美も息を呑む程。
祐人のスピードのあるプレー。
伊東君のムダのない動き。
2人ともお互いのチャンスを潰し合い、
攻めて守ってとめまぐるしくポジションが変わった。
一歩も退かない戦いに、動きがでたのは。
授業が終わる、数秒前だった。
「━・・っ!!」
伊東君は、祐人が見せた一瞬の隙を見逃さなかった。
「・・・っ入れ・・!!」
シュッと弧を描いて、ボールが舞う。
・・そして。
パサリと、静かにボールはゴールへ吸い込まれた。
その瞬間、シンとしていた体育館に響くチャイム。
勝負が決まった、瞬間だった。
わっと周りの人たちが伊東くんの方へ行った。
逆に、祐人は黙ってゴールを見つめていた。
近づいて行った友達には笑っていたけど、私にはウソの笑顔に見えた。
・・・・そして、私は。
どうしてこんなに気分が沈んでいるのかな・・・
祐人が負けて、悔しいってさえ、思ってる。
‘この勝負に勝って、明日香が
スキになってほしいって思う方”
・・真奈美の言葉が、私の中で響いた。
「━・・明日香ちゃん」
「・・!」
英介の声に、明日香はバッと振り向いた。
「ちょっと、いいかな・・」
英介の言葉に、私は体育館を出て行く祐人を気にしながら。
「・・・・・うん」
ゆっくりと、うなずいた。