君のとなり。
━・・・・・・負けた。
オレは、英介に負けたんだ。
「・・・・ちくしょ・・っ」
体育館のそばの水道で、頭から水をかぶりながら祐人はつぶやいた。
中学の部活でも負けた。
勉強だってあまり勝てない。
そして、明日香の英介を見た時の笑顔を思い出す。
あんな顔に、オレは結局1回しかできなかった。
思ってることと逆の事ばかり言って、
・・・・傷つけさえもした。
本当は1度だって、明日香をかわいくないなんて思った事はない。
いつだって、入学式の時だって、
・・・見た瞬間から。
‘かわいい”
って、思ってたのに。
だから声をかけたのに。
なのにテレて、明日香のオレの第一印象
最悪になってしまった。
「今も変わってねぇと思うけど・・」
英介は、明日香に本気だ。
アイツがあんな顔したり、
こんな勝負までするんだから。
キュッと水道の蛇口をしめる。
さっき、明日香と英介が
一緒に体育館を出てた。
「・・付き合うんだろーか・・」
ポツリと自分でつぶやいたのに、オレはダメージを受けた。
・・・・そしたら、明日香は。
オレに笑ってくれなくなる?
ちょっかいだしてもムシ?
‘祐人”って、呼んでくれなくなる・・?
「・・・・・ヤダな・・・」
髪をぶるぶると振って、芝生の上に寝転んだ。
明日香と英介が一緒にいると考えると、どうしようもなくイライラする。
そして自分のふがいなさにも・・・。
「・・・次サボろ・・・」
ゴロッと横を向き、目を閉じた。
オレはどうしたって、
君が、好きなんだ