君のとなり。
「・・ゆーとく~ん」
「・・・・・」
聞き覚えのある耳障りな声に、顔を
しかめながら起き上った。
「・・なんスか、センパイ」
立ち上がりながら、相手を見る。
入学式の時の奴らか。
こんな時に、何なんだよ・・。
「入学早々サボってんじゃねぇーよ」
「俺等に一回勝ったからって、
調子ノッてんの?あ??」
ジャージの襟首をつかまれ、
囲まれた。
・・・・5人か。やれるな・・。
「は?調子ノッてんのはアンタ等だろ。
オレに負けに来たんですかぁ??」
襟首をつかんだ奴の頬を
思いっきり殴った。
「っ!!」
「てめぇ!!ざけんなよ!」
次々と殴りかかってくる奴を
殴り返す。
口の端から、血がでた。
━・・イライラする。
負けた自分に、イライラする。
好きな子の前で、英介に負けた。
そんな姿を見られて、負けて、
・・カッコ悪・・
「・・っ、2度とオレに関わるな」
倒れて呻くセンパイ達に言って、
オレはその場を離れた。
「・・・ってぇ・・」
裏庭の木の陰に座り、横腹を押さえた。
時計が時間を差し、チャイムが鳴る。
・・・ああ、授業が終わった。
教室に戻れば、明日香が笑顔で
‘伊東君と付き合う事になったの!!”
・・・なんて、言ってくるのだろうか。
「・・は、たえらんねぇ・・」
明日香の笑顔が英介だけに向く。
自分がこんなに独占欲が強いなんて、
・・・・初めて知った。