続きは、社長室で。2
社長室へと向かうまで取り留めのナイ会話が、私を除く2人で交わされる中で。
冷めやらぬ鼓動に気恥ずかしさも入り混ざり、私は口を開けナイでいた…。
2人の背中を追いつつも、チラリと覗く拓海の横顔にドキリとさせられるだけ。
愛おしいというキモチが、今にも溢れ出しそうで怖いほどに…――
ようやく社長室へと到着して、私が重厚なドアに手を伸ばそうとしたトキ。
「蘭ちゃん、ちょっと良いかな?」
「え…、はい」
突然に桜井さんに呼び止められて、くるりと彼の方へと向き直れば。
「早々に悪いけど…、話があるんだ」
「…っ、か、しこまりました…」
柔らかい声色ながらも真剣な眼差しを向けられ、思わず息を呑んでしまった。
「よし準備も兼ねて、秘書課へ行こう…。
拓海、“大事な秘書さん”借りてくぞ?」
動揺する私に頷いたあと、桜井さんは居合わせた拓海に敢えて尋ねたらしく。
「フッ…、あぁ――」
その拓海は一笑してドアノブへと手を掛け、カチャリと社長室の扉を自ら開けた。
「・・・っ」
彼の動きに合わせて、ふわりと花舞うホワイトムスクの香りが立ち込める中で。
先ほどの表情が脳裏を過ぎり、その背中をギュッと衝動的に抱き締めたくなった。
バタンと遮蔽されたドアの向こうで、貴方は何を思っているの…?