【連作】そらにかなでし〜平安朝禁断恋草紙④〜
兄君のこのおっしゃりように、二の君は、ますます不思議にお思いになられて、ご自分も、おそばにお座りになって、

「何故……。兄上の方が、私などより、何につけても、幾重にも優れていらっしゃいますのに……」

と、切なげにこうおっしゃるのでした。

というのも、父大臣(おとど)の、一の君へのご寵愛ぶりもさりながら、二の君には、かの兄君を、どうにも追い抜くことができないように思われることがおありだったからでございます。
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