今日から執事





「早綺お嬢様」


ぼんやりとした意識の中で真斗の声が聞こえた気がした。

いつもより小さな、呟きのような声。


「早綺…」


どうして辛そうな声で呼ぶの?


頭をよぎった疑問は、ただただ胸を抉るだけ。


次第に覚醒してきた意識で、身体を起こそうと力を入れる。

だがその瞬間、早綺の頬を温もりが撫でた。

愛しむように添えられる手が真斗のものであると理解したのは直後だった。

起きるにも起きれない早綺は、爆ぜる鼓動が真斗に聞こえていないことを願うしか出来ない。


優しく触れられている手は温かくて、心地よくて。

早綺を切なくさせた。


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