今日から執事
『トラックの事故があった日、宇津木は桐谷と一緒に帰っていたらしいの。ちょうど雨が酷くて、視界が悪かった。故に起こった事故だろうと思うけれど、どうやら宇津木は自分から道路に飛び込んでいったらしいのよ』
最後のアンの言葉に早綺は目を剥く。
自分からとは、どういう意味だろう。
『事故の様子をね、目撃していた人がいたの。その人が見た様子では、宇津木が桐谷を庇って巻き込まれた風に見えたと。桐谷を歩道に押し戻すようにして宇津木は倒れていった…』
寒い。
身体が冷たくなっていく。
自然と震えていた身体を早綺は必死に抱きしめた。
しっかりするんだ、自分。
『何故宇津木が庇う結果に至ったのかは、残念ながらあたしには調べられなかった。
…事故の後、桐谷は相当暴れたらしい。泣きじゃくって、叫んで。
これは私の憶測だけれど、もし宇津木が桐谷を庇ったのが真実だとしたら、桐谷は自分を責めていると思うわ』
「そんな事、当たり前だよ」
自分を責めない人間など居るだろうか?
大切な人を目の前で無くしたのだ。暴れても、不思議ではない。