今日から執事


そこで言葉を濁らせたアンは声を低くして次の言葉を放った。


『二人が小学三年生に上がった直後、宇津木の両親が飛行機事故で亡くなっているの』


「えっ」


アンと会話をしているわけではないのに、思わず声が出る。


彼女の両親までもが、死んだ…?


『ちょうど海外に出張に行くときで、少しの滞在だから宇津木は桐谷の家に預けられたらしいの。…その間に起きた事故。結構大きな事故らしくて記事にもなっていたわ』


「そんな…」


どうしてか胸が痛くなる。
自分はのうのうと暮らしてきたのに、絢音さんは辛い経験をしている。


顔も知らない宇津木絢音という人物に思いを馳せる。

事故ならば当然、絢音さんは両親の最期に会えなかっただろう。
それがどれだけ辛いか、早綺には計り知れない。



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