捨て猫
外をぼんやり眺める彼に
「どうしたの?」と訊ねると、
彼は一瞬驚いた表情を見せ、
段差のところに腰かけた。

「…何で?」
「えっ?」
「心配してくれてんの?」
「…いつもと全然違うから」

[心配]だなんて、なんだか照れくさくて
ふてくされたようにしか言えなかったけど。

確かにあのとき、彼は
いつもの明るい彼とは別人のように暗く、元気がなかった。
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