捨て猫
あたしは彼の隣に腰かけた。

「なんか、疲れちゃった」
「何が?」
「みんなの前で明るく振る舞わなきゃいけないのが」
「…」
「オレを好きでいてくれる子は、みんなオレの明るい部分を好きになってくれてるだろ?」
「よく知らないけど、たぶん」
「あっ、ごめん。自慢じゃないからなっ」
こんなときなのに、慌てたように言う彼が可愛いと思った。
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