すべては君のため。
〜夏樹の家〜



…とは言ったものの…

17年の絆を今すぐに
なかったことにして
律に告るなんて、
臆病なあたしにはできなくて…。



「はぁ…」



「どうした?夏?」

突然、窓から律が現れた。



「!律!!何でもないよ?」

律にどうやって告ろうと
考えてたなんて
口が裂けても言えないし…。



「そうか?」



「うん!!律こそどうかしたの?」

こんな遅くに珍しい…。


「…うん。俺、好きな人できた!」



…えっ??
一瞬、頭の中が真っ白になった。






「夏と一緒のクラスなんだ!
その子!」

律があたしに求めるもの…


「だからさ!」

それは…



「協力してっ!頼むっ!」

協力。



そして…

「なぁ…俺と律は…」




ゴメン。和泉。
やっぱり、あたしが
どんなに足掻いたって…あたしと律は…



「幼なじみだろっ!」










幼なじみのままなんだ。
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