Sin




「俺、ずっと母さんと二人で暮らしてた」

ジャックの膝の上。落ち着いてきたシンはぽつりぽつりと話し出した。

「母さん、俺と違って色白で。綺麗だった。髪もキラキラした金色で」

鼻をすすりながら、シンはジャックの肩に頭をもたげる。

「母さん、男の人にモテたからさ。あんまり家にいなかったけど、俺母さん好きだし。一人でちゃんと留守番してた」

そうか、とジャックは相槌を打つ。

「いつも林檎を買ってくれた。赤くて大きい林檎。シンのだよって、留守番のご褒美だよって」

美味しかったな。シンはそう呟き、ごしごしと目を擦った。


シンが何故あんなに林檎に執着するのかがやっと分かった。

母親との温かい大切な記憶が赤い林檎と繋がっているのだ。


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