Sin
「1リアを貰うかわりに、これ持って行け。万引きの事はこれでチャラだ」

ずし、と重たい袋を両手で抱えたシンは、これは夢じゃないかと何度も瞬きした。

怖いと思っていた店主の目が意外と優しい事に気づく。

頬をつねれないので足を踏み付けてみる。痛い。

これは、夢じゃないんだ。じわ、と目元が熱くなる。

店主のがっしりした手が、キャスケットの上からシンの頭をぽんと撫で。

「……お前、本当は良い子だったんだな」

ただ生きる事に追い詰められていただけで。そうするしかなかっただけで。

ただ、温かい愛情を必要としていただけで。

差別されている移民の子とはいえ、本当は素直で良い子だったんだ。

微かに笑みを浮かべた店主は涙目になっているシンに言った。

「今度、先生と買い物においで。たまにはオマケしてやるから」


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