Sin
「うん! ありがとう、おじさん」

大きく頷き、シンは笑顔で礼を言った。嬉しくて、嬉しくて。

「もう万引きなんかするなよ」

「うん、絶対にしない。許してくれてありがとう」

今度ジャックと来るねと約束して、シンは店を出た。

その後ろ姿を見つめ、店主はふ、と笑う。

「なんだ。笑ったら案外可愛い顔してるじゃないか」

一つ息をつき、奥に戻っていく八百屋。

陰から一部始終を見ていた商店街の人々は、まるで奇妙なものを見たかのように呆気に取られたまま、満足そうな店主の姿を見送っていた。


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