Sin
展示物のように綺麗に並んだ沢山の果物を眺めて、シンは嬉しそうに微笑んだ。

オレンジ、黄色、緑、そして赤。一つ一つ色も形も違う。見ているだけでなんだか面白い。

「俺、林檎の赤が一番好きだな」

シンは真っ赤な林檎を一つ手に取り、ぽつりと呟いた。

「母さん……元気かな」

きゅ、と胸が痛む。

『あんたなんか要らない』
『死ねばいいのに』

……何故なんだろう。ひどい事を言われたのに。棄てられて、物みたいに金で売られたのに。

なのに、どうしてこんなに恋しいんだろう。

どうしてこんなに会いたいんだろう。どうして、嫌いになれないんだろう。

「どうして、かな」

林檎に尋ねても答えは返って来ない。

シンは大きく息をついた。


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