Sin
「おかえり!」

扉を開けたジャックを出迎えたのは、甘い香りとシンの明るい声。

「ただいまシン」

「な、ジャック来て来て! 俺、天才かもしれない!」

ぴょんと小さく跳びはねて飛びつきながら、シンはジャックの手を引っ張った。

「見て見て! 俺、母さんみたいに上手に作れた!」

ほら、とフライパンを指差す。まだ温かい焼き林檎が四つ、美味しそうな匂いをさせている。

あの甘い香りはシンが作っていた焼き林檎だったのか。

『美味しいね、お兄ちゃん』

ジャックはつんと胸を刺す苦い記憶に固く蓋をして微笑んだ。

「美味しそう。上手だな」

「な、俺天才かも」

得意そうな笑顔。いつになくはしゃいでいるシン。

一体何があったのだろう。シンの様子からして良い事には違いないのだけれど。

普段買わないような果物が沢山並んでいるテーブルを不思議そうに見ているジャックの手を掴んでぶんぶんと振りながら、シンは話し出した。

「ねぇ、聞いて聞いて。俺、ジャックに話したい事沢山あるんだ!」


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