Sin
「本当によかったな、シン」
食事中、シンから八百屋の店主の変化を聞いてジャックは自分の事のように喜んだ。
商店街の長である八百屋の店主がシンを認めてくれたのなら、一人で買い物に行かせても大丈夫だろう。ただし、商店街までだけれど。
「俺、嬉しくてさ。早くジャックに話したくてうずうずしてたんだ」
シンはフォークに刺したトマトを口に運ぶ。
「僕はシンが勇気出して謝りに行った事がすごく嬉しいよ。よく頑張ったな」
えらいな、とジャックが褒めるとシンは照れ臭そうに笑い、ぱくりとパンをかじった。
「あっくをおあえら」
「こら、口に物を入れて喋らない!」
コツンと額を突く。笑ったシンは吹き出しそうになって口を押さえ、喉が詰まったらしく慌てて水を飲む。
その姿を見つめているジャックの目に、自然と優しい微笑みが浮かんだ。
生き生きした瞳。子どもらしい表情。気が急くのか時々言葉を間違えながらも話したくてたまらない様子。
初めて会った時より明るくなったシンが。少しずつ強くなっていく姿が。
たまらなく嬉しくて、愛おしくて。
『親』の気持ちって、こういうものなんだろうか。
ふとそんな事を思った瞬間、ジャックの心にゆらりと暗い影がさした。