Sin
「……シンは母さんに似たかったのかい?」

「うん。俺、母さんに似たかった。『シンはパパ似ね』って母さん笑ってたけど、あんまり嬉しくなかった。そのせいで虐められたし」

それにどんな人か知らないしさ。

シンは紅茶の湯気を見つめながらぽつりと呟いた。

「ジャックは母さん似で嬉しかった?」

羨ましくてふと口から出た質問。ついと視線を上げてジャックを見る。

シンが何気なく問い掛けたその質問にジャックは答えなかった。焼き林檎を一口含み、すごく幸せそうな顔をして明るく言う。

「美味しい! シン、料理上手だな」

「そう?」

「うん、今まで食べた中で一番美味しい」

今度夕飯も作ってもらおうかなと笑うジャックに、シンはぎこちない笑顔を返す。

……話を逸らされた。

余計気になる。一体、ジャックの過去に何があったんだろう。

シンはジャックの完璧な笑みの向こうに見える暗い影を黙って見ていた。


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