Sin
その日の夜。

シンが寝た後、ジャックはソファーに深く座り溜息をついた。

『母さんみたいに上手に出来た!』

『俺、母さんに似たかった』

シンの言葉の端々に表れる母親を恋しく思う気持ち。

『要らない』と棄てられて。『死ね』と言われて。沢山傷を負って。なのに。

「どうして……」

なぜ、シンはそれほどまで母親を愛せるのだろう。なぜ、信頼を裏切られたのになお信じていられるのだろうか。

『ジャックは母さんに似て嬉しかった?』

ジャックは頭を抱えた。思い出すのは妹からの最後の手紙。

『私、母さんに嫌われた。好きで義父に抱かれた訳じゃないのに、私が誘ったんだろうって責められた。助けてほしくて話したのに、“殺してやりたい”って掴みかかられた。母さんはもう、私の事愛してない――』

吐き気がする程の憎しみ。恨みに近い怒り。

ジャックの口元に歪んだ笑みが浮かんだ。


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