Sin
「泣けば済むと思ってんの? ったく、可愛くない」

そんな事思ってない! 俺はただ、ただ……!

言いたい事は言葉ではなく涙になる。濡れた灰色の瞳が母親を見上げた。

「その瞳。世界で一番大嫌いなお前の父親にそっくり」

俺だって、好きで似たんじゃ無い!!

そう言いたいのに、憎しみの篭った不気味な笑みが怖くて声が出ない。恐怖で体が動かない。

くすくす笑いながら、母親は震えているシンの細い首に手をかけた。

「さすがあの男の子どもだよ。お前はあたしの幸せを今までに何度も奪ってくれたね」

「……あっ……う、ぐっ……」

「随分いい格好してるじゃない。あたしを不幸にしたあの男とそっくりな顔して、あたしより幸せになるつもり?」

ぐいぐいと絞められる首。苦しくてシンはもがく。

「お前なんか生まなきゃよかった」

グサリ、と。

母親は残酷過ぎる言葉の剣をシンの心臓に突き立てた。


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