Sin
ジャックの脳裏に過去の記憶が蘇る。

実の親に歯が折れるまで殴られ、列車の前に飛び出して自殺したユーキ。

一人で虐待に耐えつづけ、耐え切れずに服薬自殺した妹。

部屋に監禁され、飢えと暴力に耐えていたアレクセイの助けを求めるやせ細った腕。

異常な程の残酷な虐めに耐え続け、棄てられ売られ、性的虐待を受け、それでもまだ母親を愛し求めていたシン。

「幼い子が“死”に助けを求める程追い詰められる恐怖が分かるか? 愛してる親を愛せなくなる辛さが分かるか?」

どん、とジャックは母親の背を街路樹に押し付けた。

「子どもは親を無条件で信じてる。その信頼を酷く裏切っておきながら、それでもまだ自分は“親”だと言い張るつもりか!?」

「……止めてぇ―――っ!!」

耳を塞いで母親は叫んだ。いや、悲鳴を上げたと言う方が合っているかもしれない。震える手でジャックの胸元に掴みかかって来た。


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