Sin
「あ……あんたに何が分かるのよ……!」

母親は呻いた。シンと似ていない青い瞳に溜まっていた涙が白い頬を流れ落ちる。

「あた、あたしだって好きであの子を棄てたんじゃない! 好きで憎んでんじゃない!!」

母親は頭を抱えて崩れ落ち、叫び続けた。

「あの人があたしを裏切るから悪いのよ! シンがあの人に似たりするから、だから……!!」

あの人とは父親の事だろうか。苦い表情をしながらもジャックは言葉を抑え、母親の言い分を聞く。

「……何年も待ったわ。働いてシンを育てながら必死で行方を探した」

小さく光る滴が幾つか地面に落ち、乾きかけたアスファルトの上に黒い点を作った。

「あの人がルージャの人間でも好きだった。親に縁を切られてもあたしはあの人を愛してた」

なのに。母親は苦しそうに言葉を続ける。

「あの人はあたしを裏切ったのよ。待っててと言ったくせに帰って来なかった」

母親の長い金髪が肩からさらりと落ち、嗚咽する彼女の表情を隠した。


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