Sin
「……疲れたの。信じて信じて信じ続けて、結局裏切られた」

ギリ、と音がしそうな位地面に爪を立てる。

「あたしを捨てたあの人が恨めしくて……あたしは帰る家も捨ててついて行ったのに」

“信じて、裏切られて……憎くて”。

ジャックの表情に小さな動揺が浮かんだ。

「あの人の事は忘れて幸せになろうって決めたわ。優しそうで頼れそうで、シンの父親になってくれそうな人を探した」

母親は当時を思い出しているようにふふ、と泣きながら笑う。

「優しい人は沢山いたわ。言い寄ってくる人も、真剣に結婚しようって言ってくれる人も」

だけど。頼りなげな拳が悔しそうに地面を叩いた。

「みんなシンの事を知るなり態度を変えた。シンの事もあたしの事も汚い物呼ばわりして離れて行ったわ」


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