Sin
傷付いているシンの気持ちを考えたら、“自分が辛い”なんて口にして欲しくなかった。思わずそう言いそうになった。

しかし、その言葉を飲みこまざるを得ない程母親の顔には深い苦悩が現れていて。

ジャックはただ黙って母親の告白を聞いていた。

「あの男がシンを売ってくれと言って来た時……魔がさしたの。この子さえ居なくなれば幸せになれるって」

月が雲に隠れ、暗い風が二人の間を吹き抜ける。

「やっと解放されると思った。あたしに縋って泣いてるシンがどうなるかなんて考えなかった」

最低よね。

そう言って母親はジャックを見上げた。

「シンがあの屋敷から逃げ出した後散々な目にあって。あの子はどこまであたしを苦しめんだろうって憎らしく思った。やっとの思いで逃げ出したのに、あの子はまたあたしの前に現れた」


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