Sin
『やだ。ジャック行かないで。助けて』

母親に憎まれ手をかけられ、恐怖に怯えるシンの姿。深く傷付き助けを求める瞳。

『疲れたの。信じて信じて信じ続けて裏切られた』

全てを捨てて愛した人に裏切られて深く傷ついた母親。その痛みゆえに、抑え切れない恨みを彼によく似た我が子にぶつけてしまう、自身をコントロール出来ずに苦しむ姿。

我が子に手をかけるなど、断じて許される事ではない。だけど。

ジャックはひどく掻き乱された胸の辺りを強く握った。

信じた人に裏切られる痛み。強く信じていればいるほどその傷は深い。そしてその悲しみは時に憎しみに変わる。思えば自分の抱えている怒りも同様のものだ。

親も一人の人間だ。時にバランスを崩し、道を誤る事があってもおかしくない。それは理解出来る。

出来る、けれど。

愛し、信じている親に嫌われ憎まれ、体も心も深く傷つけられた子ども達の苦しみを思うと――



何度もアスファルトを叩き続けている母親の拳に血が滲んだ。

「……やめろ」

ジャックは膝をつき、母親の細い手首を掴んだ。



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