Sin
再び泣き崩れた母親の肩に、ふわりと温かい物が掛けられた。

「必ず幸せになれ。シンを残酷に傷つけた償いとして、必ず」

上着の上から一度肩に置かれた手は声と違ってどこか優しげで。

『シンは僕が……責任を持って育てる』

ふと、疑問が浮かぶ。

何故この人はシンの味方をするの?

何故、この人はシンと一緒にいるの? あの子はみんなに差別されてるルージャの血を引いてるのに。

母親が恐る恐る顔を上げた時には、すでにジャックは立ち上がっていた。

「冷えてきたから早く家に帰れ。ああ、その上着は返さなくていい」

背を向けて数歩。ジャックは立ち止まる。

「シンの“養父”として警告しておく。今度シンに今日のような事をしたら」

ゆっくり振り返り、ジャックは低い声で母親に言った。

「その時はただじゃおかない」


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