Sin
便箋を綺麗に折りたたみ、封筒に戻す。

ジャックの引き出しから糊を取り出して元通りに封をする。

『ジャックは母さん似で嬉しかった?』

あの時、話を逸らしたジャックの笑顔。

『良い人だった』

過去形の言葉。

『親に虐待されて自殺した』
『助けてあげられなかった』

シンは手紙を本棚にそっと置いた。

何だか、心が重たくなった。読まなきゃよかった、と後悔する。やっぱり盗み読みなんかするもんじゃないな。

お腹は空いていたけど何となく食べる気にならず、シンはソファーにごろんと横になった。

広告だと言って捨てられ続けている手紙。最近は握り潰されている事が多い。

まるで、憎しみをぶつけるかのように。

ジャックっていつも笑ってるから。いつも優しいから、あまり気付けないでいたけれど。

何があったかは知らないけれど。

ジャック、本当は俺以上に傷ついてんじゃないか……?


ふう、と溜息をつく。

壊れていて普段は鳴かない時計の鳥が、ピヨピヨと二回鳴いた。


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